地震で外壁のひび割れが心配! 見つけ方と補修費用の目安

地震の揺れによって、住宅の外壁にひび割れが起こるケースがあります。
外壁のひび割れは放置しておくと建物の構造にダメージを与える危険性がありますので、できるだけ早く見つけて補修する必要があります。

この記事を読むと、地震のあとの外壁のひび割れの見つけ方とその補修方法、補修費用の目安がわかります。

目次

地震の後に点検するべき外壁箇所

地震が起きた後、自分自身でできる限りの範囲の外壁を点検しましょう。
まずは地震によってひび割れしやすい外壁部分について、詳しくご紹介します。

モルタルは外壁全体

下地材にラス網を張り、そこにセメント・砂・水を混ぜたモルタルを塗って施工した外壁がモルタルです。
地震が起こるとラス網が振動し、外壁にひび割れしやすいという特徴がありますので、モルタルの外壁の場合は外壁全体を点検するようにしましょう。

窓サッシの周辺

窓サッシ周辺は建物の構造上、ひび割れを予防することは難しく、どの外壁材であっても地震の負荷によってひび割れしやすい箇所です。
窓サッシの角の部分から斜めにひび割れするケースが多いですので、必ず確認するようにしましょう。

コーキング部分

サイディングボードの継ぎ目に充填されているのがコーキング(シーリング)です。
弾力性のあるゴム状の充填剤なので新築の建物の場合はひび割れしにくいですが、長期間経過すると経年劣化で硬化し、地震の際にひび割れしやすくなります。

サイディングの釘部分

サイディングボードの場合は下地に釘を打ち付けていますので、地震の揺れによってこの部分に負荷がかかりひび割れを起こすケースがあります。

外壁のひびの補修方法

ここでは、外壁がひび割れしているのを発見した場合、どのような対処法があるのか、補修方法について解説していきます。

ヘアークラックの場合

幅0.3mm以下、深さ4mm以下のひびを「ヘアークラック」と呼びます。
モルタルの場合は長い期間紫外線を受けると乾燥して細いひびが入りやすくなりますので、地震による影響以外に、経年劣化も考えられます。

ヘアークラックの場合は建物の構造自体にダメージを与えるようなひびではありませんので、早急に対処する必要はありません。
ただし美観を損なうので、気になるのであれば塗装によって埋めてしまうか、コーキング材を注入してから塗装することで対処できます。

構造クラックの場合

ひびの幅が0.3mm以上になると地震によって建物の構造自体がダメージを受け、外壁の内側からひび割れを起こしている可能性が高いです。
このようなひびを「構造クラック」と呼びます。
構造クラックの場合はどこに原因があるのか点検する必要がありますので、専門業者に連絡して点検してもらいましょう。

構造クラック部分をカットしてコーキング材を充填することで補修できるケースもありますが、状態によっては強度計算や施工時の工法から再確認して作業を行います。
外壁の広範囲で構造クラックが起きている場合は、強度の補強のため外壁の張り替えとなります。

構造クラックを放置しておくと、雨水やシロアリなどの被害によって建物の構造がさらにダメージを受けてしまいます。
大規模な改修工事をしなければいけなくなりますので、見つけ次第すぐに対処するようにしましょう。

強度に問題なければカバー工法

モルタルの場合、外壁にひび割れが目立つようになっていても、専門業者の点検で強度に心配がないと判断された場合は、既存の外壁の上に金属系サイディングを上張りするカバー工法で対処することができます。
外壁の張り替えよりも補修費用は安く抑えることができますが、軽量の金属系サイディングであっても外壁の重さが増すため耐震性は低下します。

地震保険は地震発生後10日以内の損害が対象

地震で起きた外壁のひびを補修する際、地震保険に加入していれば損害の程度によっては保険金を受け取ることができるケースがあります。
損害割合はひびの大きさではなく、ひびの数で計算されます。
ヘアークラックであっても多ければ適用される可能性はありますので、地震保険の内容を確認しましょう。

注意点としては、地震が発生後10日以内の損害のみが対象ですから、時間が経過してしまうと、地震によるひびなのか経年劣化によるひびなのか見極めが難しくなります。
地震が起きて外壁にひびを見つけたら、早めに鑑定士に診断してもらうようにしてください。

外壁のひびの補修費用相場

最後に、外壁のひびを補修する際の費用相場について解説してきます。

コーキング材の充填(スポット補修)

コーキング材を充填してひびを補修するスポット補修であれば、1㎡あたり2,000円から3,000円が目安になりますので、1回の補修は1万円から5万円が費用相場です。
ただし、足場を組む必要がある高所の場合は別途足場代がかかりますので、総額で20万円から30万円が相場になります。

外壁塗装(全面塗装)

全面塗装をして外壁のひびを補修する場合の費用相場は、塗料費用、工事費用、足場費用を含めて、2階建ての住宅で80万円から150万円です。
外壁の塗装は3回行いますが、その中にソフトフィラーという弾性塗料を使用するとひびの再発を予防できます。

塗料によって耐用年数も変わってきますので、耐用年数が15年以上のフッ素塗料や無機塗料がおすすめです。
塗料の費用目安としては最も安いアクリル(耐用年数3年から5年)で1缶5,000円から15,000円に対し、フッ素塗料は性能が高いことから1缶4万円から10万円と高額にはなります。

カバー工法

モルタルの外壁を全面塗装するよりも、金属系サイディングのカバー工法を施工した方が工期は短く済みます。
カバー工法の費用の目安は30坪の住宅で160万円から220万円です。

ただし、既存の外壁のひびを補修しているわけではないので、構造クラックの場合は耐震性がさらに脆弱になる点に注意が必要です。

外壁の張り替え

構造クラックなど外壁の強度面に問題がある場合は、外壁の張り替えを施工する必要があります。
外壁材に窯業系や金属系のサイディングを用いるのであれば1㎡あたり6,000円から9,000円で、タイルを用いるのであれば1㎡あたり1万円から5万円が相場です。

こちらに足場代やコーキングの打ち替え、養生費用、工事費用、既存の外壁材の撤去費用などが別途必要です。
30坪の住宅でサイディングに張り替えであれば150万円から230万円、タイルへの張り替えであれば160万円から500万円となります。
アスベストが含まれている外壁材を撤去する場合は、さらに費用がかかります。

まとめ

もしも地震が起きた場合は、落ち着いた状態になってから外壁がひび割れしていないか点検し、状態に応じた対処が必要です。

構造クラックを発見した場合は、専門業者に連絡すると同時に保険会社へも連絡して、地震保険が適用になるのか鑑定してもらうのがいいでしょう。
専門業者に補修を依頼する際には、災害による保険適用の補修工事の経験が豊富な、信頼できる業者を選ぶことも重要です。

  • 2023年10月26日